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Blender 環境設定の引き継ぎ~旧バージョンから新バージョン移行のお供に

Blender 環境設定の引き継ぎ~旧バージョンから新バージョン移行のお供に

2024年7月、Blender 4.2 LTSがリリースされました~

Blenderはわりとよくバージョンアップしているソフトです。バージョンアップしてソフトがより使いやすくなるのは喜ばしいことですが、

Blenderの新しいバージョンが出る度に、また環境設定をやり直すのはちょっとめんどくさい…

ということで、この記事ではBlenderがバージョンアップしたとき、旧バージョンで設定したいろいろを引き継ぐ方法についてまとめてみたいと思います。

 

この記事は、長期サポート版 Blender 4.2 LTS に対応しています。

 

Blenderの設定は古いバージョンから引き継ぎできる

ピコーン

トハのBlenderは、使いやすいようトハ好みにいろいろカスタマイズしています。

 

これらの設定をぜんぶやり直すのはちょっと手間かな~と思いましたが、Blenderはちゃんと旧バージョンのBlender設定を引き継げるようになってます。

思えばMayaも環境設定を引き継ぎできるし、3DCGソフトの標準装備なのかもしれません。

それでは、Blenderの設定引き継ぎ方法について見ていきます~

 

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Blenderのスプラッシュ画面から引き継ぎ

・設定引き継ぎのやり方

まずは、Blenderの起動時に表示されるスプラッシュ画面から引き継ぎする方法です。

Blenderを起動するとこんな表示になると思いますが、このスプラッシュ画面に「Import Blender x.xx Preferences」とあれば、ここから他バージョンのBlender設定を引き継ぎできます。

Blender 4.2 スプラッシュ画面から設定引き継ぎできるとき

引き継ぎせずに新しい設定ファイルを作りたいときは「Save New Preferences」をクリックします。

 

使っているパソコンの中にBlenderの設定ファイルがないときや、設定ファイルがあっても古すぎるバージョンのものだった場合、これらの項目はスプラッシュ画面に表示されません。

Blender 4.2 スプラッシュ画面から引き継ぎできないとき

 

設定を引き継ぐか新規作成するかして、一度そのバージョンのBlender設定ファイルができると、スプラッシュ画面の表示はこんな感じになります。

Blender 4.2 設定引き継ぎ後のスプラッシュ画面

設定引き継ぎをやりなおしたい!引き継ぎした設定をなかったことにしたい!

というときは、作られた設定ファイルを消すと設定がリセットされて再設定できるようになります。

 

ちなみにスプラッシュ画面からBlenderのメニューを日本語表示にすることもできますが、ここから日本語設定したときは「新規データのチェックを外す」のを忘れないようにしたいです。

Blender スプラッシュ画面から日本語にするときは「新規データのチェックを外す」のを忘れずに

※詳しくはBlenderのメニューを日本語に変更するをご確認ください~!

 

スプラッシュ画面が表示されないときは…

編集→プリファレンス→インタフェースから、「スプラッシュ画面」にチェックを入れると、Blender起動時にスプラッシュ画面が表示されるようになります。

Blender 3.3 スプラッシュ画面の表示/非表示

 

・設定リセットのやり方

以降の説明はWindows環境のものになります。Mac等をお使いの方すみません。

 

Blenderの設定ファイルは、使っているパソコンのユーザーフォルダ内に保存されています。

C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Blender Foundation\Blender

この中に「2.93」や「3.3」という名前のフォルダがあると思います。これが設定ファイルです。Blender 4.2の設定をリセットしたい場合は、「4.2」のフォルダを消せばOKです。

Blender 4.2 設定ファイルの保存場所

 

消すのがこわいときは、フォルダ名を変更するかフォルダを別の場所に移動すれば、フォルダが消えたのと同じ状態になって設定がリセットされます。

設定ファイルがない状態でBlenderを起動すると、スプラッシュ画面にまた設定引き継ぎの項目が表示されるようになります。

 

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ポータブル版(zip形式)はconfigフォルダをコピーして引き継ぎ

フムフム…

トハが使っているBlenderは、実はポータブル版(zip形式)です。

トハが愛用中のアドオン「Maya Config Addon For Blender」を導入するにはzip形式の方が都合がよかったりして、Blenderを持ち歩く訳でもないけどこっちを使っています。

 

ポータブル版はその名のとおり、環境設定ごと別の場所に持ち運んで使えるBlenderです。

パソコンのユーザーフォルダではなく、zipを解凍したBlenderフォルダに設定ファイルをコピーすることで、他バージョンのBlender設定を引き継がせることができます。

 

やり方はけっこう簡単なのですが、

Blender 4.2のポータブル版では、blender.exeを起動する前に「portable」という名前のフォルダを手動で作成する必要があります!

portableフォルダを作る前にBlenderを起動すると、インストール版Blenderの設定ファイルが保存される下記の場所に自動的に設定ファイルが作られてしまいます。

C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Blender Foundation\Blender

うっかり起動して設定ファイルがここに作られてしまった場合はフォルダを消せばリセットされます。

 

portableフォルダはblender.exeがあるのと同じ場所に作成します。

ポータブル版のBlender 4.2はportableフォルダを作ってそこに設定ファイルをコピーしていく

他バージョンのBlenderからポータブル版Blender 4.2に設定を引き継ぐ場合、基本的にこのportableフォルダの中に設定ファイル等をコピーしていきます。

それではやり方を順に見ていきます。

 

・設定引き継ぎのやり方

以下、説明時にBlenderバージョンの数字が出てきます。数字部分は各自お使いのBlenderバージョン数に置き換えてお読みください。

 

まず、ポータブル版4.2ポータブル版3.3 の設定を引き継ぐ方法です。

引き継ぎ元のポータブル版Blender 3.3のフォルダを開いて、中にある「3.3」フォルダを開きます。
フォルダの中に「config」フォルダがあれば、これが設定ファイルです。

zip解凍したポータブル版Blender 4.2のフォルダを開いて、「portable」という名前のフォルダを作成します。portableフォルダの中に3.3の「config」フォルダをフォルダごとコピーします。

これで設定引き継ぎ完了です~

ポータブル版 Blender 4.2にポータブル版3.3のconfigフォルダをコピー

 

ポータブル版Blender 3.3フォルダの中に、configフォルダがない場合もあります。

この場合は、パソコンのユーザーフォルダに保存されている設定ファイルが使われているので、これをコピーしてきます。

C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Blender Foundation\Blender

ここの「3.3」フォルダ内にあるconfigフォルダを、zip解凍したポータブル版Blender 4.2の「portable」フォルダ内にフォルダごとコピーします。これで引き継ぎ完了です。

ポータブル版 Blender 4.2にパソコンユーザーフォルダ内の3.3configフォルダをコピー

ポータブル版4.2インストーラー版3.3 の設定を引継ぎする場合も、同じようにパソコンのユーザーフォルダにあるconfigフォルダをコピーしてくればOKです。

 

古い記事ですが、CGWORLD.JPにポータブル版Blenderの設定引き継ぎについて書いている記事があります。設定の話はQ.13にありますが、それ以外の内容も興味深いのでぜひ一度見てみてください。

 

この記事に書いてある通り、ポータブル版はBlenderのすべてのデータがフォルダ内にまとまっているので、キーマップやアドオンのデータをコピーして引き継がせることもできます。

Blender 4.2からは、portableフォルダ内に各ユーザーの設定ファイルをまとめる仕様になりました。

Blender 4.2のマニュアルにポータブル版のインストールについての記述がありますが、portableフォルダには「設定、起動ファイル、インストールされた拡張機能、プリセット」が保存されるとのこと。

しかしpresetsは別の場所にもフォルダがあったりしてややこしいため、ポータブル版Blender 4.2のユーザー設定をportableフォルダにひとまとめにしたい!という方は次のようにしてみてください。

  1. portableフォルダの中に「scripts」フォルダを作る
  2. ポータブル版の「4.2/scripts」にあるpresetsを、フォルダごと「portable/scripts」の中に移動する

 

これでキーマップなどの設定もportableフォルダの中のpresetsにまとめることができます。

また、Blenderのアドオンを旧バージョンから4.2に引き継がせたい場合は、「portable/scripts」の中に「addons」フォルダをコピーすることで一応引き継ぎできます。

できますが、

個人的にはBlender 4.2へのアドオン引き継ぎはおすすめしません!

実はBlender 4.2から、これまで標準アドオンと呼んでいたアドオン類が「エクステンション」という呼び名に変わり、保存される場所も「extensions」フォルダに変更になりました。

これらの関係でaddonsフォルダをコピペするだけではうまく引き継ぐことができません。

Blender 3.x系から4.2へのアップデートに応じてアドオンもアプデされているものが多いので、それらのチェックも兼ねて手間でもひとつずつインストールしていったほうが安心だと思います~

 

コメント欄にて、FBXインポート/エクスポートのオペレータープリセットを使用している場合の引き継ぎについて、補足情報をいただきました!

FBXをエクスポートなどするときプリセットを作って保存しておくと便利なのですが、新バージョンに移行したときプリセットが「Missing Paths」になっていたりします。

Blender FBXインポート/エクスポート オペレータープリセット

これは、旧バージョンの下記フォルダ内のプリセットデータを、新バージョンの同名フォルダにコピーするとなおります。

【オペレータープリセット保存場所】
\3.3\scripts\presets\operator

もう少し詳しいことが知りたい場合は、コメント欄をご確認ください~

 

・設定リセットのやり方

ポータブル版のBlenderは、コピーしてきたconfigフォルダなどのデータを消せば元の状態に戻すことでできます。

ただ、コピーしたデータを消して元に戻すよりも、
元のBlenderフォルダをまるごと持ってくる方が早いし確実です。

元のポータブル版Blenderを複製してどこかに残しておけば、いつでもまっさら状態のBlenderに戻すことができます。

ポータブル版はパソコンにインストールしないので、データのバックアップやコピーが簡単にできるのもいいところです。

 

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環境設定の引き継ぎはやりすぎると問題が出ることも

!

さて、とっても便利な設定引き継ぎですが、注意したほうがいいこともあります。

環境設定の引き継ぎは、古すぎるバージョンのソフトから引き継いだり、いくつものバージョンをまたいで引き継ぎ続けていると、思わぬ問題を生んでしまうことがあります。

 

ここまでの説明で見てきたように、Blenderの設定引き継ぎは、旧バージョンのconfigデータを新バージョンのBlenderフォルダにコピーしているだけです。

3DCGソフトのバージョンアップにおいては、実は内部データ的にいろいろ変わっていて、旧バージョンの設定が新バージョンではうまく動作しないことがあります。

そういうとき、古い設定ファイルのデータが3DCGソフトの挙動に影響を及ぼすこともあります。

使っている3DCGソフトに原因不明のおかしな挙動がでたときは、環境設定のファイルを一度消してリセットすると問題がなおる、ということもよくあります。

トハ
トハ

Mayaでもよくあるし引き継ぎちょっとこわい…

 

Blenderをバージョンアップする際は、

  • 引き継ぎで環境設定をかんたんに済ませるも一興
  • 新しいバージョンでまた最初から環境設定してみるも一興

と思います~

 

まとめ:設定引き継ぎはラクでいい♪でもほどほどに~

♪

この記事では、Blenderを旧バージョンから新バージョンへ移行するときの、環境設定の引き継ぎ方法についてまとめました。

他バージョンのBlenderから設定を引き継ぐときは、
Blender起動時に表示される、スプラッシュ画面から引き継ぎするのが1番かんたんです。

ポータブル版(zip形式)のBlenderを使っている場合は、
zip解凍したBlenderフォルダ内に、configなどの各種データをコピーすることで設定を引き継げます。

Blender 4.2ではzip解凍したBlenderフォルダ内に「portable」という名前のフォルダを作り、そこにconfigなどの各種データをコピーすることで設定を引き継げます。

 

どのバージョンのBlenderでも、同じ設定で使いたいのが正直なところです。

設定引き継ぎを活用すれば、環境設定の手間が省けてラクだし便利です♪

ただし、3DCGソフトがバージョンアップするということは、それだけいろいろソフトが変更されたということです。古い設定をそのまま使ってしまうことで、問題が起きる可能性もあります。

たまには新しいバージョンでの環境設定をやり直してみて、気分も新たにスッキリ新しいBlenderを使ってみるのもいいと思います^^

 

※新バージョンのBlenderで改めて環境設定してみる場合は、こちらのBlenderを始めるシリーズの記事もぜひ参考にどうぞ~

コメント一覧

  1. 100の人 より:

    ポータブル版の設定移行で、こちらの記事を参考にさせてもらい助かりました。

    その後にFBX等のインポート/エクスポート時のオペレータープリセットで「*Missing Paths*」と表示され、「scripts\presets\operator」のコピーも必要とわかりましたので、補足させていただきます。

    • トハ トハ より:

      100の人さん、補足情報をいただきどうもありがとうございます!
      トハのポータブル版Blender環境では、FBXのインポート/エクスポート時に特に問題が起きなかったので気が付きませんでした><

      こちらで「scripts\presets\operator」内を確認すると、「wm.collada_export」というフォルダが1つあり、中には「sl_plus_open_sim_rigged.py」「sl_plus_open_sim_static.py」という2つのファイルが入っていました。
      もしかして100の人さんのBlender環境では他のフォルダやファイルが存在していたいたりしますでしょうか?
      Blender設定のちがいや導入アドオンの種類によっては、「scripts\presets\operator」に新しいファイルが作られるのでコピーしてくる必要があるのかな?と考えているところです~

      • 100の人 より:

        返信有り難うございます! 環境は Blender 2.82a と、同梱の公式アドオン「FBX format」4.20.2 です。

        FBXエクスポート設定で、以下のようにプリセットを作成すると、
        https://cdn.discordapp.com/attachments/628562877158260746/709586520633507881/unknown.png
        scripts\presets\operator\export_scene.fbx フォルダへ、「unity.py」のようにプリセット名でファイルが作成されます。

        また別の話になりますが、scriptsフォルダ自体についても、コピーしないとインストールしたアドオンもリンク切れ表示になります。なので設定を移行する際は、新しいバージョン番号のフォルダ内容へ、古いバージョン番号のフォルダ内容を、同名ファイルを上書きせずにコピーするようにしてみました。

      • トハ トハ より:

        100の人さん、丁寧に説明してくださりありがとうございます~
        こんなところにFBXのエクスポート設定を保存/読込できるやつがあったんですねー!
        今まで知らなくて使ってなかったんですが、これすごい便利ですね。これから活用させていただきます!どうもありがとうございます~

        そして、試しにさっそくFBXエクスポートのプリセットを作ってみたところ、おっしゃる通りscripts\presets\operator\export_scene.fbxフォルダにプリセットがファイルが作られました。
        これは確かに、作成されたこのファイルをコピーしてこないとFBXエクスポートのプリセットが読み込めなくなってしまいますね。
        折をみて記事内にこの件を追記させていただきたいと思います。
        情報ご提供いただき感謝です!

        アドオン関係はscripts\addonsフォルダに入っていると思うので、こちらも手動でコピーしないとアドオン引き継ぎはできないですよね。近々Blender 2.83がリリースされそうな感じですので、その時にまた引き継ぎ系のいろいろも再確認してみます。

        なにぶんトハ自身が調べて分かったことだけまとめているようなブログなので、情報不足などあると思いますがまたなにかお気づきのことがあれば教えてやってください~
        どうぞよろしくお願いいたします。

  2. 100の人 より:

    どうもです! こちらこそご丁寧に有り難うございますー よろしくお願いします!

トハ
トハ

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