前回の記事、ポートフォリオの作り方①~作り方より大切な考え方のはなしでは、
ポートフォリオは、見る相手のことと自分が1番伝えたいこと、両方ちゃんと考えることが大切という話をしました。
この考え方で作れば、自然といい感じのポートフォリオができあがってくるはずだという訳です。
まーでも、そうは言ってもやっぱりポートフォリオを作るのは難しいです。
難しいポートフォリオ作りは、ちょっとでも簡単にしたいです。
この記事では、ポートフォリオの作り方②と題して、ポートフォリオを作るときに「考えなくていいこと」と「考えずにやること」について書いていきます。
やらないでいいことと、とりあえずやっときゃいいこと、これが分かればちょっとポートフォリオ作りが楽になる気がしてきませんか?
ポートフォリオを作るときに考えなくていいこと2つ
まずはポートフォリオを作るとき、考えなくていいことについてです。
・自分らしさや個性派のアピールはいらない
こんな風に考えたことないですか?
会社には就職希望者のポートフォリオがたくさん送られてくる訳だから、他の人と違う個性的なポートフォリオにした方がいいかも?と考えるのは自然です。
でも、考えなくて大丈夫~
なぜなら「自分らしさ」や「個性」は、勝手に出ちゃってくるものだから。
100人が同じ考え方に沿って同じようにポートフォリオを作ったとしても、同じポートフォリオが2つできることは絶対ありません。
色合いやレイアウトが似ることはありますが、それは人が見やすい色合いやレイアウトが、だいたい何パターンかに決まってくるからです。
色合いやレイアウトが「普通」で「他のと似てる」としても、ポートフォリオには作った人それぞれの考えがあります。
その考えた結果が「自分らしさ」や「個性」として、ポートフォリオの中身に出てきます。
なので、他の人と違うものにした方が…ということはあえて考えなくてもいいんです。
たまーにですが、ポートフォリオの最初の1ページに「なんでコレにした!?」ってなる個性的なものを入れてくる人もいます。
確かに目立つしインパクトもあります。実際そのインパクトで面接に呼ばれる場合もあります。
インパクトある個性がその人本人の持ち味で、勝手に出ちゃっていたのなら何も問題ありません。
でも人より目立とうとして、普段はやらないことを無理してやっていとしたら?
面接に呼ばれたとしても「なんかこの人、ポートフォリオの印象で期待していたような人と違うなー」となるのではないでしょうか。
「自分らしさ」や「個性」は、無理やりアピールしようとしても疲れるだけです。
そんなことしなくても、自然にいつも通りにしていれば勝手に出ちゃっていますので、考える必要はありません~
・お金をかけて製本したり凝ったデザインにする必要はない
このように悩んでる人もいるかもしれません。
自分の将来を決めるかもしれないポートフォリオです。自信を持って人に見せられる、自分の作品となるポートフォリオにしたいと思うのは当然です。
でも、相手が見るのはポートフォリオの中身であって、決してガワではありません。
プロに頼んで製本してあるかどうかは、重要ではないです。表紙や装丁のデザインにこだわるのもいいですが、ポートフォリオの本質はそこではありません。ポートフォリオの役割は、
「自分がいまできること、これまでやってきたこと」を見る相手に伝えることです。
要は、伝えたいことが相手にちゃんと伝わるポートフォリオなら、なんでもOKなんです。
自分の伝えたいことは、プロに製本してもらわなければ伝わらない!
表紙も装丁もこだわり抜いてデザインしてこそ、自分の伝えたいことを1番伝えられる!
そう考えた結果であるなら、ぜひやるべきだと思います~
でもそうでないなら、伝えたいことはそこではないのならやる必要はない、ということです。
文房具屋さんで買ったクリアファイルと、家のプリンターで印刷した作品。それらでポートフォリオを作ったとしても、伝えたいことはちゃんと伝わります。
ポートフォリオのガワをよくすることは、考えなくても大丈夫です。
ガワ(側・がわ)
周りを囲むもの。転じて物事の枠組み。見た目。
ポートフォリオを作るとき考えずにやること3つ
ポートフォリオを作るときに考えなくていいことの次は、考えずにやっとくことについてです。
・全体を通してフォーマットを統一する
ここでいうフォーマットとは、次のような意味です。
フォーマット
型、体裁、書式
形式・様式、用紙、写真のサイズ等
具体的には、このようなことでしょうか。
- 各作品のタイトル、説明文ごとに文字サイズや色を揃える
- 日本語フォント、英数字フォントの種類を統一する
- 英数字は全角か半角か、どちらかに統一する
- 背景の色、ラインや枠線の太さを各場所で揃える
他にもあると思いますが、つまりは読み物であればだいたい統一されているようなことです。
自分の持っている本で、技術書や教本のようなものがあれば手にとって中を見てみてください。
たぶん1章~2章~のように章立てされていて、各章には見出しとなるページがあったりして、そして全ての章で見出しページのスタイルは統一されていると思います。
このブログ内を見てみても、見出しのスタイルや文字サイズは統一されています。
これは読む人が読みやすいように、内容が分かりやすいように工夫された結果、だいたいの読み物で統一されているものだと思います。
ポートフォリオも、1冊の本のようなものです。
ポートフォリオ全体のフォーマットを統一することは、見やすさや分かりやすさにつながります。
文字サイズや色を揃えること、フォントの種類を統一することなどは、知識やセンスのあるなしとは関係なくできることです。
深く考えずともまずは揃えてみてください。これだけで、ポートフォリオ全体もぐっとまとまりある感じになってきます。
・作品には必要十分な説明を文字で添える
ポートフォリオに入れる各作品には、説明を添えてください。
そういうもんだと思ってやっときましょう。
見開き2ページ、あるいは1ページのスペースをめいっぱいを使って作品を紹介したい場合は、そのページにタイトルや説明を入れなくても、次のページに入れればいいと思います。
なぜ説明を添えるのかというと、ポートフォリオの作品を見た相手が必ず知りたくなることがあるからです。例えばこんなことが気になるはずです。
- 何のツールを使って作った?
- 作るのにどれくらい時間かかった?
- ポリゴン数とかテクスチャサイズどれくらい?
- ひとりで全部作った?共同制作だったらどこを担当した?
- どういう意図で作った?仕事?課題?趣味?ポートフォリオのため?
- こだわったポイントとかあるんかな?
相手が知りたいことが分かってるなら、最初から教えてあげるのが親切だし、手っ取り早いです。
ただし、これらの説明はあくまで作品を補足するための添えものです。
主役は作品そのものですから、文字による説明は簡潔に、必要十分な量にとどめておいてください。がんばって作った思い入れのある作品なら、説明したいことはたくさんあると思います。
でもここはぐっとこらえて、なるべく簡潔な説明にしておきましょう。
もし作品のことや、作品を作った人のことをもっと詳しく知りたい思ってもらえたなら、面接という場でその機会を与えてもらえます。
それから、
ポートフォリオには「作成年月日」「作成者の氏名」「内容の目次」を明記するのがおすすめです。
誰のポートフォリオなのか、内容量はだいたいどれくらいなのか、見てすぐ分かるようにしておくと親切ですよね。ポートフォリオ紛失防止のためにも、特に氏名は必須だと思います。
・誤字脱字やスペルミスがないかチェックする
ポートフォリオは作品がメインですが、タイトルや説明文など文字情報も結構あります。
最後に必ず、誤字脱字やスペルミスがないか、しっかりチェックしてください。
漢字の間違いや英語のスペルミスは、デザイナーとしての実力とは一切関係ありません。
でも「仕事をする社会人」としてみた場合はどうでしょうか。
最後の最後で確認を怠る人なのかな?ツメが甘い人なのかな?ほんのちょっとだけ、そんな風に思われてしまうかもしれません。
作品の内容とは関係ないところで、そんな風に思われたとしたら…
めっちゃもったいないです!
という訳で、誤字脱字のチェックは念入りにやっちゃってください。
人間誰しも間違ったりするものなので、誤字脱字があったからといって、書類選考で落ちることはないと思います。むしろそれだけで落とすような会社なら、ちょっと心がせまい感じです。
(…ゲーム会社を舞台にしたお仕事漫画「チェイサーゲーム」では、”人は書類に現れる”として、誤字脱字の多い書類は真っ先にはじかれている描写もありますが~応募が多いと見るのも大変ですしね。)
ま、字の間違いはチェックすれば分かるし直せるものですから、やっぱりやっといて損はないです。
※自分でチェックして単純なまちがいを減らすことは、3DCGの仕事においてもとても重要なことだったりします。このはなしについては、3DCGのデータはきれいに作るの記事で書いてます~
まとめ:ポートフォリオ作りで考えなくていいこと&考えずにやること
この記事では、ポートフォリオを作るときに「考えなくていいこと」と「考えずにやること」について書きました。ざっくりまとめるとこんな感じです。
この記事で紹介した「考えなくていいこと」と「考えずにやること」は、難しいポートフォリオ作りを、ちょっと楽にする心得みたいなものです。
必ず書類選考に合格するポートフォリオとか、絶対内定がもらえるポートフォリオとか、そういうポートフォリオを作るためのワザではありません。
そんなワザ知らない~というか、ないと思われる
ポートフォリオ作りに頭を悩ませている人のお悩みが、この記事を読んでちょっとでも解消されたらいいなと思います。
ポートフォリオの作り方①~作り方より大切な考え方のはなしでは、ポートフォリオ作りにおいてトハが1番大切だと思う「考え方」について書いています。まだ見てない場合はぜひどうぞ~^^
コメント一覧
こんにちは。いつもブログの情報を参考にさせていただいてます。とても助かります!
少し質問があります。
世の中には便利な素材が売られていたり無料で提供されていたりしますが、そういったものを自分の作品に組み込みポートフォリオに載せるのはOKなのでしょうか?
自分はメインのキャラクターや建造物などは自作したのですが時間が無かったこともあり、草木のモデルはアセットストアで購入して配置しました。
企業の方としては100%自分の手で作っていないとNGなのか、既存の素材を使ってでもいい絵を作る構成力・総合力の方を求めているのか、知りたいと思います。
補足:
流石に詐称するのはいけないと思うので、前者ならば新しく自作して差し替え、後者ならば使用したアセットを正直に記しておこうと思っています。
ぽっぽさん、コメントありがとうございます~ブログも見ていただいてどうもです^^
さて、ご質問は「ポートフォリオに掲載する作品に外部入手したアセット類を利用するのはOKかNGか?」ですよね。
トハは企業の採用担当者ではないのであくまで個人の考えになってしまいますが、以下に回答させていただきます。
トハとしては、「アセット類を利用してもOK」だと思います~
ただし、ぽっぽさんもおっしゃっている通り「自分で制作した部分/アセットを利用した部分」は必ず明記して、どこからどこまでが実際に制作した部分なのか、相手が分かるようにしておく必要があると思います。
また、アセット類はあくまでも作品の補助的な役割にとどめて、作った部分よりもアセットの方がメインみたい…ってことにはならないようにした方がいいかと^^
ぽっぽさんの場合は、メインキャラと建造物を自作されていて草木などをアセットで、ということなのでトハとしては問題ないように思います。
例えばモーションデザイナー志望の方などは、キャラクターは外部のリグ付きモデルを利用して、モーションだけ制作してデモリールを作ったりすることはよくあります。
見せたいのはモーション制作の部分なのに、モーションの前にキャラクターモデルから作っていたらさすがに大変ですしね…
そういう例もあるので、見せたい部分をしっかり作っていてきちっとアピールできるようであれば、他の部分にアセットを利用するのはわるいことでもないかな、と思います。
もしか面接で面接官に、「この部分はどうしてアセットを使ったんですか?」って聞かれたとしても、ちゃんと理由と目的を答えられるのが理想的かもです。
作るのがめんどくさかったから…とかラクしたかったから…みたいな理由だと聞かれたときに答えにくいですが、アセット利用で浮いた時間を活用して他のものを作りたかったから、とかの理由であれば納得感も高いかな~と。
企業の方が絵作りの構成力等を見ているかどうかは…ちょっとトハには分からないのでそこはお答えできないのですが、回答はこんな感じになります。どうぞよろしくお願いします~
ご回答ありがとうございます!
確かに、モデラー以外の職種を目指す人などにも完全自作モデルを求めるのは酷ですものね…
自分のアピールしたいポイントを見失わずに、正直に伝えていくことを意識していこうと思います。
そして、面接でその点について聞かれるということを失念してました…気づかせてくださりありがとうございます…
やはり、しっかり筋が通っていて熱意を感じられる理由を用意しておくべきですね。
おかげさまで、これからのポートフォリオ作りの指針がはっきりしてきて安心できました!感謝します!
トハの回答が少しでもお役に立ったのならなりよりです~
ポートフォリオ作りは大変かと思いますが、がんばってくださいね!