トハは料理がニガテです。
でも近ごろは在宅ワークが主流になり、外出がめんどうなのでたまに食事を作ったりしてます。
それで最近、ふと思いました。3DCGを作ることと料理を作ることは少し似ている。
この記事では、トハが思う3DCGと料理の共通点を語りつつ、3DCGを仕事にしたい人と趣味で作りたい人、それぞれについて想いを馳せてみます~
自分のやりたい3DCGを見失っている人がもしいたら、参考になることが少しはあるかもです。
3DCGも料理も、作る側にはいろんな立場の人がいる
まず思うのは、3DCGも料理も作る側にはいろいろな立場の人がいる、ってことです。
3DCGと料理を作る人々について、分かりやすいようにちょっと分布図を作ってみました。トハの個人的な考えを図にしただけのものですが、そこそこあっているかな~と思ってます。
どうですかね?
仕事として作ってない人とは、料理で言えば家族のために作ったり、楽しむために趣味で作ったりする人々を指してます。
仕事として作ってる人とは、料理で言えばレストランの厨房に勤めてたり、個人の店で料理を出したりする人々を指してます。
いまこの記事を読んでいる人の中には3DCGを作っている人も多いと思いますが、自分はなんとなくこの辺かな?っていうのがきっとあるのではないでしょうか^^
この図は必ずどれかひとつの四角に該当するわけではなく、複数の四角に当てはまっていくのが自然なことだと思います。
あくまで作る人の分布図なので、3DCGも料理も作ったことがない人は、まだどこにも当てはまらないのも自然です~
3DCGも料理も、レシピ通りに作れば誰でも作れる
3DCGと料理って似てるかも…とトハが思うに至った1番のきっかけはこれです。
3DCGも料理も、レシピ通りに作れば誰でもほぼ同じものを作ることができる。
トハは料理がニガテなので、料理するときはスマホでレシピを検索して作ります。レシピ通りの分量とレシピ通りの火加減&時間で料理すると…あら不思議、トハにもおいしい料理が作れます~
これと同じことが3DCGにも言えます。
例えば、「3DCGで○○を作ろう」のようなチュートリアル動画がレシピにあたります。
動画を見ながら手を動かしてマネして作っていくと、動画の中で作っているのとほぼ同じものを自分も作ることができます。レシピ通りのきれいな3DCGは、誰でも作ることができるのです。
(トハがちょっとだけ撮ってる動画もまさにレシピ的なやつです)
実はこれってすごいことで、ネット上にレシピやチュートリアルがころころ転がっているというのは本当にありがたいことですね~!
おかげで初心者であっても、おいしい料理やきれいな3DCGを簡単に作ることができます。
トハにも料理が作れる!
そして、最初はレシピ通りに作るだけだったのが、そこからだんだん興味がでてきて自分でアレンジしてみたり、もっとうまく作るために勉強したくなってくる人もいると思います。
守破離という言葉もあるように、最初は誰もが師匠や先生に教わった通りのことをやるものです。教わったことを応用したり、自分のものとして活用できるようになるのは、次の段階な訳です。
守破離(しゅ・は・り)とは…
ものごとを学ぶ基本的な姿勢、または取り組む順序を意味します。もともと武道や茶道で用いられ、その後、学ぶ場ならどこでも、汎用的に使われるようになりました。
型を身に付ける第一段階「守」、
みんなのキャリア相談室 より
型を応用・改良する第二段階「破」、
型から独立する第三段階「離」。
ただし、「誰もが守破離をめざしているとは限らない」ということも忘れないようにしたいです。守で十分な人も、破まででいい人も、実際にはいると思います。
料理で言えば、トハはレシピ通りに作れる「守」の段階でちょうどよくて、それ以上うまくなりたいともオリジナルレシピを生み出したいとも思っていません。
きっと3DCGにも、同じことが言えるのではないかと思います。
3DCGも料理も、どこまでも上がいる果てしない世界
3DCGと料理が似ていると思う、もうひとつの大きな理由。それがこれです。
3DCGも料理も、どこまで行っても上には上がいる果てしない世界。
実際これはどんな物事にもあてはまると思います。
ただ、”料理”というものには和食・中華・フレンチといったジャンルがあり、お手軽料理から一流高級料理まで幅があり、そしてその全てにおいて、その道のプロのような人々が存在しています。
ここらへんがすごく、3DCGと似てるかもな~と思うんです。
”3DCG”にも様々な種類があります。モデリングだけで見ても、キャラか背景か、ゲーム系か映像系か、セルルックかフォトリアルか、その他にもプロダクト系やフィギュア原型などもあって…
こんな風に細かく枝分かれしていった先々に、各現場の第一線で活躍するプロの仕事人が大勢いて、それと同時に仕事としては作ってないけどすごい腕前の人とかもいる訳です。
…ほんとに果てしない世界じゃないですか~?!
でもトハが言いたいのは果てしないから大変とかやばいとか、そういうことじゃないです。
トハが言いたいのは、誰もが果てを目指さないといけない訳じゃない、ってことです。
なぜなら、果てじゃない途中段階の様々な場所にも、多くの需要があると思うから。
高級フレンチのコース料理を食べたい人もいれば、早い安いうまいな牛丼が食べたい人もいます。
日常的にリーズナブルに食べれるフレンチや、ちょっとお高い特別メニューの牛丼が求められたりすることもあります。
同じことが3DCGにも言えると思ってます。
要は需要と供給です。需要があるものは作る意味が大いにあります。需要があるものを作って提供できる人はみんなすごいです。人が求めるものを作りだせるなんて、誇っていいことです。
一方で、最先端・最果てを目指して知識や技術を探求できる人もすごいです。その探求の結果、以前は果てに近かった場所にも辿り着けるようになり、そこでまた新たな需要が生まれたりします。
つまり、
上には上がいる3DCG界で、果てを目指して突き進む人、果てを目指さず立ち止まって需要に答える人、どっちを選んでもいいしどっちもすごい!
ってことです~^^
なんとなーく世間の風潮として、果てを目指して探求する人の方がすごい的な雰囲気を感じることがあります。
でもトハはどっちでもいいと思ってます。どっちもすごいし、意味があるから~
なぜ作るのか?なにを作りたいのか?3DCGの動機や目的は大切
果てしなく広がる3DCG界では、行き先不確かで迷子にならないように気を付けたいところです。
ここでちょっと、3DCGと料理の作る人々分布図を思い出してみます。
レシピ通りに作れる人から、オリジナルが作れる人、作りながら教える人もいて、しかも仕事で作ってる人とそうじゃない人が入り混じってます。
そのうえ、モデリングだけ見てもキャラか背景か、ゲーム系か映像系か…みたいのまであります。
これだけ様々な立場で3DCGを作っている人がいるので、ネット上に転がっている3DCGに関する情報は、当然これらがごちゃ混ぜ状態になって散らばっています。
自分に合っている情報なのかどうか、ちゃんと考えてから取り入れていきたいです。
そのためには、自分はどういう立場で3DCGをやりたいのかということを、自分でちゃんと分かっておくのが理想です。
この記事のタイトルにある「仕事でやるか?趣味でやるか?」もその立場のひとつです。
今や3DCGは、趣味としても個人で気軽に手を出せるものになりました。でも、”趣味で楽しく作れること”と、”仕事にして楽しく続けられること”は、必ずしも一致しません。
3DCGやゲームの業界では、「趣味は仕事にせず趣味のままにしておく方がいい」なんて話を聞くことがあります。
これは一理あって、ゲーム会社で働いてからゲームを楽しく遊べなくなったという人もいます。
でも逆の論説もあり、「仕事と趣味の境界が無いような人じゃないとクリエイターは務まらない」なんて言う人もいます。
事実、平日は会社で、休日は家で、好きで3DCG制作に明け暮れる3DCGデザイナーもいます。
結局のところ、この辺は人それぞれで、人によります。
だから人の意見じゃなくて、自分自身の意見を、自分でちゃんと聞いてやる必要があります。
なぜ3DCGを作るのか?
どんな3DCGを作りたいのか?
趣味として作りたいのか、それとも仕事にしたいのか?
もし3DCGの会社で働きたいなら、 が求められます。会社の中で上を目指すなら、 になる必要があります。
自分のオリジナルモデルを販売していくなら、もちろん です。
いっぽう趣味として3DCGを作っていくなら、決まりはなくすべて自由です。
で3DCGを楽しむも良し、 になってモデル改変をやってみるも良し。
個人の趣味嗜好を極めた3DCGの技術を公開し、 になってSNSでバズってみるのもまた良しです。
自分が3DCGを作る動機や目的は、だだっ広い3DCG界で迷子にならないためのコンパスです。
なぜ3DCGを作るのか?
どんな3DCGを作りたいのか?
おもしろそう!やってみたい!で3DCGを始めるのも全然いいことだと思います。
でも、もし3DCGを作り続ける中で行き先に迷うようなことがあれば、自分の動機や目的を再確認してみてほしいです。
また、守破離のことばが示すように、動機や目的はだんだん変わっていくものでもあります。
自分でも気がつかないうちに変わっていることもあるので、たまには「自分はなんで3DCG作りたいんだっけ?どんな3DCGが作りたいんだっけ?」って思い返してみるのもいいかもです~
まとめ:3DCGと料理は似てる。人それぞれにいい距離感がある~
3DCGも料理も、様々な人がその人それぞれの立場で関わっているモノです。
料理で言えば、初めて自炊してみた初心者から、世界的に有名な超一流シェフまでいる世界。
そして初心者と超一流の間にも、知る人ぞ知る隠れた名料理人とか、そこそこの値段と味で地元に愛される定食屋とか、超絶料理を作れるけどあくまで趣味で作るのが好きな人とかがいる世界。
このこと、3DCGに置き換えて考えてみてください~
3DCGやってる人って、ほんとにいろんな立場の人がいるんだなぁって思います。
きっと人それぞれの「いい距離感」があるのではないかと思います。
趣味として3DCGを楽しむ人も、仕事として3DCGを作っていく人も、あるいは趣味と実益を兼ねて3DCGをやる人も、みんなそれぞれの「いい距離感」を大事にしてほしいと思います。
この距離感を見失ってしまったまま3DCGを作り続けると、だんだん作るのが億劫になったり、3DCG自体が嫌になってしまうかもしれないからです。
だから、ときどき確認してみてほしいです。
なぜ3DCGを作るのか?
どんな3DCGを作りたいのか?
誰か他の人が言うことじゃなくて、自分自身のことを、自分でちゃんと聞いてみてくださいね~
おまけ:ちなみにトハの場合
ちなみに。トハはかれこれ10年以上3DCGを作り続けている訳ですが、
これまでに、「趣味で3DCGを作りたい」と思ったことは一度もありません。
この記事を書きながら振り返ってみて…純粋に趣味で作った3DCGってまじで1個もなかった!
就職用ポートフォリオに入れるためにオリジナル作品を作ったことはありますが、それって趣味で作ったとはぜんぜん言わないですよねぇ。
トハが最初に3DCGを作りたいと思った動機は、「ゲームを作る仕事がしたいから」でした。
だからなのかなんなのか、どうも趣味として3DCGを作りたいという考えはないみたいです。趣味の時間がとれるならゲームしたりマンガ読んだりして遊びたいし。
トハがまだ会社で3DCGを作っていた頃ですが、周りの3DCGデザイナーに「仕事と趣味の境界が無い人」が結構いたんですよね。
平日5日会社で3DCG作って、土日も家で3DCGの自主制作してるって聞いたときは、「えぇ…トハにはぜったい無理どうしよう…」と思ったもんです。
それくらいしないと置いていかれちゃって、この業界じゃ生き残れなかったりすんのかなぁって。
結局トハは、土日に家で3DCG作ったりはしなかった。
でもそれでよかったと思ってます。もし無理して1週間ぜんぶ3DCG漬けみたいなことをやってたら、途中で3DCGを作るのがイヤになってたかもしれないなーと思います。
その反面、平日5日ゲーム会社でゲーム作ってても、土日は何時間でもゲームして遊びたかったし今でもゲームに飽きたりはしてないから、やっぱりこの辺は人によるんだと思います^^
みなさまも、どうぞ自分の気持ちには正直になってやってください~
自分の1番の相棒は自分自身っすから!
コメント一覧
こちらを再度、読ませていただきました。
今まで、全く違う仕事についていて、作る仕事というのを体験しておらず
トハさんの書かれてる事が、理解できてるかわかりませんが
立ち止まって、ゲームをしたり、アニメを見たりと自分の楽しめる事をやって何日か過ごしていたのですが
このキャラをかっこよく作りたいと
気づけば、外に出れば人の服のシワをみて描いてみたり、デッサンしてみたりと、何かとやってしまっていました笑
私の場合、見つめ直して見た所、仕事にしたい=多人数で一つの作品を作って見たいと言うのが大きいのかもしれません。
前の仕事で人との関わりの中での仕事で、難しい事の毎日でしたが、ガコッと歯車がはまる時があり、それが、凄く良く
それを、ゲームやアニメや映画で、その中の小さな1人になれたら最高だろうなと想像してしまいます
もちろん、その仕事についてない私の戯言かもしれません。
また、前の仕事の関係からか、子どもにも向けれた作品が多いCG会社さんやゲームやアニメ作品に惹かれる部分もあり
そちらのキャラモデリングもやって見ようとかとも思いました。
まずは灰原雄くんのエースタンスのターンテーブルの服のシワを作り直して勉強させてもらおうと思っています。
私の服のシワの解釈が間違ってる所が多々あり、特に一周回して作ってしまっているので、今、フィギュアを触ってみたり、シワの入れ方などの本を見ては、設計図を描いて見ています。
でも、なかなか難しいです
もし、よろしかったら服のシワに関してトハさんの考え方などありましたら、聞かせていただけると助かります。
主夫さんこんにちは、コメントありがとうございます。
服のシワですか~とっても難しいですね!
会社にいたとき服のシワのディテールをすべてテクスチャに描いて表現するルックのキャラモデルをたくさん作ったことがありますが、シワの描き込みはほぼ毎回チェックで引っかかるので本当にもう何回修正したかわかりません。笑
トハは決して得意じゃないです服のシワ。でもいっぱい修正対応した結果いまはちょっと分かることがあります。
3DCGうまくなるために必要なものは「考え方を理解する必要があるもの」と「数をこなす必要があるもの」の2種類があるという話をトハはよくしますが、服のシワを上手に作るにはこの両方どっちもが必要です。
まずは、シワってなんでできるの?どこにどうやってできるの?っていう「理屈」を理解する必要があります。これが分からないと毎回トライアンドエラーで苦労することになってしまうので。
シワができるのは引っ張られるところ、よく曲げるところ、あまってダブついてるところ…などなどですね。
こちらのツイートも「理屈」についてとてもわかりやすく解説してくれていると思います。
https://x.com/simodasketch/status/1719657333784264963?s=20
https://x.com/simodasketch/status/1725097411268510071?s=20
これらの理屈を理解した上でたくさん作って、「慣れ」とか「経験」が蓄積されるとだんだんシワもうまく作れるようになってきます。
最初から完璧なシワを作るとか、一朝一夕で上手にシワを作れるようになるとかはかなり難しいと思います。
でも幸い3Dモデルは修正することができるので最初はうまく出来なくても、理屈を考えながら服のシワの参考資料をよく見て修正していけばいつかは必ずいい感じに作れます。
ときには一旦作ったシワ部分を削除して新しく作り直してみるのもいいと思います。その方が古いトポロジーに引っ張られずにいい感じにモデリングできることも多いので。
また作り方を変えてみるという方法もあります。
シワのようなディテールはポリゴンで直接モデリングするよりスカルプトで作った方が作りやすいので、スカルプト→リトポロジーという手法で作るのもいいです。
実際ゲームのモデルなどではシワなんかのディテールはハイモデルでスカルプトして、そこからノーマルマップを作ってローモデルに転写してディテールを付けることも多いです。
モデルで真面目に作らずテクスチャで表現する方法もあります。
トハがsketchfabにアップしている伏黒君モデルはセルルック調の見た目ですが、襟の部分のシワはモデルでちょっと作って他はテクスチャで描いて表現しています。
(sketchfabはトポロジーを見ることができるので参考にしてみてください)
https://x.com/tohawork/status/1546840949879640064?s=20
3Dモデルにおいて服のシワというのは、キャラモデルをかっこよく見せるための一要素だとトハは思っています。
極端な話、服のシワがなくてもそのキャラモデルが”違和感なくかっこよく”見えるならシワ作らなくてもいいんです。と思います。
装飾品とか模様が多くてゴテゴテしたパーツがたくさん付いている衣装だとシワはあんまり作らなくてもかっこよく見えます。逆に学生服のような単色でシンプルな服をかっこよく見せるにはかっこいいシワのディテールが必要になってきます。
フィギュアの服のシワは基本的にかっこいい造形になってるのでフィギュアはとてもいい参考資料になります。トハもよく参考にします。
ただし、フィギュアはポーズが固定で動きません。フィギュアモデルはそのポーズでかっこよく見えるシワの造形に全振りできますがゲームモデルはいろいろな動きをします。ここが大きく違います。
ゲームモデルを想定するなら同じくゲームのモデルを参考にしてみるのもいいと思います。
ペルソナのキャラ達は学生服を着てますしモデルのルックもリアル系じゃないので見てみるといいかもです~喜多川祐介が特にシンプルな服なのでシワディテールでかっこよく仕上げてますね。
https://livedoor.blogimg.jp/west_and_east/imgs/8/c/8cc2f696.jpg
https://pbs.twimg.com/media/EMSPmJrVUAAJCP2.jpg
長々と書きましたがこんな感じです。
いろいろ観察したり考えたことは絶対無駄にはならないのでじっくり活かしていってください^^